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- Vol.1 はがしやすいラベル
ラベルやシールを台紙からはがすとき、うまくはがせずにイライラした経験のある人も多いのでは?この問題にエーワンは真っ向から取り組みました。商品化されてしまえば、ほんの小さな工夫に思えるかもしれません。でも、そこにこそエーワンのこだわりはあるのです。
ラベル(シール)は印刷などをして実際に使用する紙と、その台紙という2種類の紙がセットになった商品です。台紙からラベルをはがしやすくするには、ラベルと台紙の厚みに段差をつけるのが最も簡単な方法。ところがエーワンの商品はオフィスや家庭のプリンタで印刷することを前提としているので、厚くし過ぎるとプリンタで使用できません。また、厚い紙はコスト面でも新たな課題を生みます。
そんなジレンマの中、お客様相談室には「ラベルがはがしにくい」という声が寄せられていました。「何とかしなければ…」というのは、エーワンで商品開発に携わる者にとって長年の課題でした。商品課で資材調達を主業務としながら、既存商品の改良も手がけていた染谷もそう感じている一人でした。
「会議などで何度も議題にあがり、そのたびに妙案が浮かばずに先送りされていた課題です。それがある日、子どもが遊んでいたシールを見てひらめいたんです。それは、丸いシールのわきにつまみのような突起があり、そこだけのりがついていないというものでした」
全体がのりづけされているからはがしにくいのであって、どこか「手掛かり」となる段差があればはがしやすいはず。それに、この考え方なら従来通りの紙に工夫すればいいだけで、コスト増も最低限に抑えられる――。
「どうすればラベルははがしやすくなるか?」を日頃から頭の片隅に入れていた染谷は、子どものシールを見て瞬時にこの発想へとたどり着きました。すぐさまアイデアを企画書にまとめ、会議で提案。経営陣からも好評を得て、商品化へ向けた本格的な検討が始まりました。
「はがしやすいラベル」とは、その名の通り商品の特性であり、あらゆるラベル商品に付加できる価値のことです。その中でも染谷は、2つの商品群へこの特性を加えることを考えました。
1つ目は、封筒の宛名書きなどで利用されることの多い、あらかじめ特定の形状にシートがカットされた「面付け商品」と呼ばれる商品。ここでは、ラベルの周囲を最初にはがし、そうすることでラベル本体と台紙とに段差をつけることにしました。最初にはがす部分はつまみを加え、そこを手がかりとして周辺部分をはがすという方法です。
「こだわったのはつまみの形状です。三角がいいのか、丸がいいのか、大きさはどれぐらいがいいのか…。さまざまな試作品を作り、社内でテストしました。最終的に、どの角度からでもつまみやすいという理由で現在の丸みを帯びた形状に決まりました」
「はがしやすいラベル」採用の2つめは、A4サイズのシートが1枚の大きなシールになっている「ノーカット」と呼ばれる商品。これは、お客様が自由に形状を決めて使う商品です。こちらは面付け商品のように、ラベル本体面にあらかじめ手を加えておくことはできません。
そこで考え出したのが、台紙に細かな切り込み(スリット)を入れておくという方法。こうすることで、お客様が思い思いの形にラベルを切っても、必ずどこかにスリットがかかり、そこを手がかりにして台紙をはがすことができます。とはいえ、ラベルに切り込みを入れたことはあっても、台紙に切り込みを入れるなど、エーワンでも前代未聞の試みでした。
「スリットはどんな間隔で、どんな長さで入れればいいのかなど、誰もやったことのないことだらけです。こちらも試作を繰り返し、最適値を探し出しました。また、スリットはあくまで切り込みなので、お客様は目をこらさないと見えません。そこで、スリット位置を印刷で表示することにしました。私としてはスリットと同じぐらい細い線で表示したかったのですが、それは印刷の技術では途方もなく高度なこと。工場とは1/10ミリ単位で調整を繰り返し、現在の表示方法に決めました」
こうして誕生した「はがしやすいラベル」は、5アイテムに採用されて商品化されることに。「売れ筋商品には採用されなかったので、期待されていなかったのかも」と染谷は振り返りますが、その心配は杞憂に終わります。お客様相談室に寄せられる「はがしにくいから何とかして」という声は、以降、徐々に減っていったのです。それどころか、「使いやすいからもっとほかの商品にも導入して」という声が寄せられるように。この声を受けてからの商品には、積極的に「はがしやすいラベル」機能を採用していくことが決まりました。
「企画者として初めて手がけた商品が、この『はがしやすいラベル』です。自分の仕事に対して反響があるということが、こんなにもうれしいことだとは思いませんでした」。そう語る染谷は、この商品の企画を通してユニバーサルデザインを意識するようになりました。
「ユニバーサルデザインは自分たちの仕事には縁遠いものだと思っていました。でも、そうじゃないということがわかったんです。誰が使っても使いやすいというのは、まさに私たちの商品が目指すべき姿。これからもラベルにこだわり、はずす・はがすというシンプルだけど奥の深い行為をサポートできる技術を追求していこうと思います」


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